小説

雪下遺稿シリーズ

《物語》を食す竜の庇護下で生きるひとびとの、祈りと願いのつみかさね。
雪深い国の誰かが語るものがたり。

戴冠、あるいは暁を待つ

夢見る竜の支配するかの国の長い歴史において、
唯一の女王たる〈鉄の女王〉ルカ・アデル・セン・クレイゼラッドに関する記録は少ない。
ただひとつ、若かりし日の彼女自身が綴ったとされる、真偽もわからぬ物語を除いては。
――美少女のような姿の魔術師と、男装の王女の、王位簒奪に至るまでの前日譚。

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梟は極北に皓の星を見るか

その国には古くより竜が棲み、宝物のかわりに物語を枕に眠るという。
されども北の果て、〈琥珀樹海〉を臨む地には偉大なる竜の恵みも届かない。
湖上の神殿に暮らす神官ばかりが、その栄華をしらしめる。
クロイツは彼の地に暮らす神官見習いであるが、あるべき姿には興味がない。
かわりに彼が求めるのは、いずれもっとも偉大な獣として、己の名を残すこと――

 →連載準備中

庭園の俯瞰、もしくは千と一の夜を越えるための祈り

そのいにしえの森には、あまねく願いを叶える〈王〉が御座す。
かの王と手を携えた娘が臨む、ある祭祀と、それから神話の時代の末路について。

 →リライト中

単発長編

52Hzの鯨

この世界には「竜」がいる。 契りを結べるのは、紫の目を持つ人間だけ。
竜と契る権利を持って生まれたイェナは、幼い頃から彼らの力に興味がなかった。
そんな彼女が海辺の町で出会った水竜もまた、契約者を求めない風変わりな竜だった。
〈海の秘密〉を知るという竜を追い、イェナもまた海洋研究の道に踏み込む。
太古の遺物、竜を呼ぶ歌、生物種同定プログラム、脳のレプリカ――
知識と技術をよすがに歩いた道程は、七年の時を経てたしかに竜へと届いたかに見えたが……
(世界観設定:藤井環さん)

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掲載予定なし

〈王の知恵〉のマルジナリア

帝立図書館の本たちの長兄は、魔術書である。魔神憑きのその本の名を、表題に曰く〈王の知恵〉。
ある嵐の夜、彼は図書館の客人より嬰児をひとり預かった。
客人が言うには、この子どもは魔神の望む知識を教えてくれるのだという。
しかし人ならざる身にはどうも真っ当な人間に育つとは思えず――
果たしてこの子は〈王の知恵〉の望みを叶えてくれるのか。
ついでにきちんと図書館を巣立ってくれるのか。
育児書ではない〈王の知恵〉(と、いい年した人間の友達)の奮闘が始まる。
不思議な本と砂漠の国を巡るものがたり。

 →架空ストア様で取り扱いがあります